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インクジェットプリンタと普通紙(PPC用紙)インクジェット・プリンタの店頭印刷見本で、コピー用紙あるいは普通紙と称する見本がありますが、大抵は一番滲み難い良質の用紙が使われています(そうでない場合もありますが)。滲む用紙でのA社品見本と滲まない用紙でのB社品見本では正しい比較になりませんから、店頭見本を比べる場合は要チェック。水性ボールペンで文字を書いてみて、その輪郭が滲むか否か、裏に染みるか否かで紙質(およびサイズ剤の質)が判定できます。 同じ理屈で、インクジェットプリンタを選ぶなら、適切な用紙選びが重要になります。
価格の高いものが必ずしも適しているとは限らず、同価格帯に(インクジェットにとっての)良質・悪質用紙が混在しています。例えば手持ちのDeskJet 720Cで良好な用紙に印刷するとレーザープリンタに匹敵する結果が得られますが、悪い用紙を選んでしまうと、黒が冴えず輪郭が滲み、一昔前のインパクト型並みかそれ以下か?と思うくらいの結果になってしまいます。別の例を挙げるなら文書印刷の際に、300dpiのDeskJet 550Cで良好な普通紙に印刷した場合と、600dpiのDeskJet 720Cで粗悪な普通紙に印刷した場合とでは、前者がはるかに美しい印字結果を得る事が出来ます(見方を変えれば…文字のエッジ、特に曲線部の滑らかさをうるさく言わなければ300dpiプリンタでも十分奇麗な印刷が得られる事を意味しますけども…)。 私がこれまでに使用した中で良好だった用紙の銘柄は下表の通り。DeskJet 720CおよびOfficejet 6500A Plus[*1]およびOfficejet Pro 8500 wireless All-in-Oneでの文字印刷品質評価です([*1]は用紙(1) (5) (6)でのみ確認)。※これら3機種はいずれも黒は顔料系インクなので、下記で良好とした用紙でも、染料系インク機種では滲む可能性がある点に注意(もちろん顔料系でもメーカー&インクの品質は異なります)。 用紙(1) (2)は私自身が普段利用している用紙です(→注:2011年4月現在は入手性と価格の都合で用紙(5)〜(8)、特に用紙(8)へ移行しています)。用紙(3)はインクジェットプリンタを備えたワープロ専用機「書院セリエ2 (MR-2)」ユーザーである知人からの情報です。
用紙(1) (2)は割合安価です(ホームセンターなどの500枚300円のような用紙に比べれば高いけど)。用紙(3)は少し高めですが品質を考えれば悪くない選択だと思います。ちなみに通販では、用紙(2)の2500枚単位(500枚×5)が1500円程度(0.6円/枚)で買えることを最近のチラシで知りました。 [2006-09-14 補足] 2006年09月現在、Canonは「ニュープリンタペーパー CP-250」の製造を打ち切っているらしく、店頭ではもう見かけなくなりました。代りに販売されているのは「スーパーホワイトペーパー」ですが、A4用紙の希望小売価格は250枚で税込み400円(1.6円/枚)。実売価格も希望小売価格に近く、CP-250より割高です。 [*1] 「チラシで〜」を書いた当時(1999年前後)には型番などを知っていた様子ですが、2012年現在はメモもなく不明。ですが用紙(1)と同程度の硬さと感じました。おそらく2012年時点で販売されている三菱製紙のPPC用紙(PPC-CRIA4;64g/m2、91μm、500枚×5束で1750円程度)と同じ厚みだと思います。 用紙(4)は(顔料インクの場合は)乾きが若干遅めですが、非常に良い印字結果が得られます。表面が極めて滑らかに加工された熱転写プリンタ用紙だけあります。でもインクジェット用としてわざわざ購入する用紙ではないかもしれません。5〜6年前に購入して余っていたものによるテスト結果です(ちなみに用紙(4)はB5ですがA4の青色用紙 Capmpus ワープロ用紙 タイ-1010N-Bの場合は、色付きのためか特性が違うようで裏までインクが染みる分、文字の黒さが低下します)。 [2008-09-15 追加] 近所の100円ショップ(ローソン100)で販売されている協和紙工業(株)のコピー用紙 100枚は、DeskJet 720Cで印刷する限り、ドキュメント印刷(黒だけの文字やカラー混じりの文書)では十分な品質だったので上表に(5)として追加しました。こだわらなければ画像印刷としても使えます(実際に購入したのは半年〜1年近く前なのですが情報として記しておきます)。 用紙(5) (6) (8)は、いずれも坪量としては用紙(1)と同じ程度64〜68g/m2ではあるものの、用紙(1)に比べれば薄く軟らかい(と感じる)ので厚みや張りのある用紙が好きな人には向かないかもしれません。私個人は厚みや張りがありすぎるのは扱いにくく感じるのと、枚数が多い場合に重たいのが嫌なので、印字品質が確保されていて裏写りしないなら薄いほうが良いと感じています。 [*2] 用紙(6)はスタンダード 100枚入り 64〜70g/m2と中厚口 80枚入り 74〜81g/m2品とがある様子。私が使用したことがあるのはスタンダード。この用紙も良いのですが、これを販売していた近所の100円ショップが閉店してしまったため、安価に入手できなくなりました。 用紙(5)は用紙(1) (6) (8)に比べて薄くしなやか且つ白色度が高く、私個人的には上品な印象を受けますが、透ける分両面印刷には向かないかもしれません。用紙(7)は、用紙(1) (2) (5) (6)と比べて滲みを感じるので奨めしない用紙と判定していますが、全くダメと言うわけでもなく、うるさいことを言わないなら許容範囲ともいえます(とはいえ用紙(8)が入手できる限り、私は敢えて用紙(7)を選びませんが…)。なお用紙(7)は用紙(1) (6) (8)と同程度の厚み・硬さですが、インクが滲み易く裏へも浸透するので両面印刷には向きません。 用紙(8)は2011年以降に見つけた良好な用紙の1つで、両面印刷でもそれなりに使えてよいと感じます。但し、ダイソーは店舗ごとに扱う品が一定でないので店によっては販売されていませんし、販売していた店であっても商品入れ替えによって販売しなくなってしまう場合もあり、やや不安定かも(実際、吉祥寺の店舗ではここ数カ月見当たらず、店員に尋ねたら商品入れ替えの都合で入荷予定がないと言われてしまいましたし…。ダイソーのWebページでも商品は不定である旨の記述があります→よくある質問)。 用紙(9)は2012年5月に試した用紙(キャンドゥにて用紙(5)と併売されていた)。用紙(5)のクリーム色系に対して青白い色。顔料黒(DeskJet 720C & Officejet Pro 8500)での印字は問題なし。用紙(5)と似てやや裏に透けるので両面印刷には向かないかも(インク量を控えるなどすれば別として)。なおカラー文字では若干滲みあり(これは他の用紙にも言えることですが…)。 用紙(10)は2018年2月に試した用紙。白色度87%のクリーム色系。顔料(Officejet Pro 8500)での印字は問題なし。やや裏に透ける(インク量を控えるなどすれば可能)。 インクジェットプリンタによる普通紙印字で文字が滲むのはしょうがないと諦めている方には、上記の「実際に印刷してみて品質の良好だった用紙」をお勧めします(宣伝費を貰っているわけではありません)。 ※ここで普通紙を取り上げるのは、マイクロドライ型/昇華型を別として、インクジェット機に対する汎用情報となりうると思うからです。 ※PPC用紙:Plain Paper Copier用紙とは普通紙複写機(PPC)用の紙のこと。回りくどいですが感光剤やインク類保持用の特殊な加工をしていない普通の紙のこと。最近はほとんど見かけなくなったジアゾ式などの湿式複写機で使われる特殊な用紙と区別するために、普通紙複写機用の定型サイズに加工された用紙をPPC用紙と呼びます。印刷工程が原理的に同一な普通紙ページプリンタにも使えますし、最近ではインクジェットプリンタやインクジェットを採用した普通紙FAXにも使えると記されている事が多いです。 [2012-05-06] 本文をいくらか変更しました。可能な範囲で用紙の画像も追加しました。上記文中での「厚み」や「硬さ」は公称値や測定値ではなく、扱った際の印象で書いています。 関連:
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