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カラープリンタが実際に表現できる色数


[色表現数] : [理論値] : [実際値] :: [Inkjet] :: [MicroDry]

[解像度とは ?] || [擬似解像度] || [フルカラーでの解像度] || [DJ720Cの分解能]

1. カラープリンタでの色表現

fig.1 : True 300×300dpi
True 300dpi
fig.2 : True 600×600dpi
True 600dpi
fig.3 : True 1200×1200dpi
True 1200dpi
fig.4 : Enhanced 1200×1200dpi
Enhanced 1200dpi

※図は説明用であり、実際のインク配置を示しているわけではありません。

擬似解像度でない真(True)の解像度を持つプリンタでは、上図のfig.1fig.3にあるように、解像度の数値で区切られたマス目に沿って自由にインクを配置できます。シアンである部分にマゼンタやイエローを配置し直すことも、シアンの隣にシアンを配置することも可能です。

[参考] モノクロプリンタの場合も含めて、プリンタで線を表現する場合、1マスおきにインクを配置しないと分離した線を表現できません。そのため、例えばTrue 1200dpiのプリンタでは1/600インチ間隔にドットを配置する必要があります。つまりlpi値はdpi値の1/2の、600lpi (lines per inch)です。
fig.3の右上にあるマゼンタのように1/1200インチで並べると2本のラインではなく1/600インチ幅の1本の線になってしまいます。左下のシアンは1/600インチ間隔で配置してあるため、1/1200インチ幅の2本のラインに見えます。


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1.1 表現可能な色の数(理論値)

(1) 全く同じ位置にCMYBkのインクを重ねる場合

C(シアン)/M(マゼンタ)/Y(イエロー)/Bk(ブラック)のインクを、全く同一の場所に配置[*1]する場合、C/M/Y/Bkのそれぞれのインクを落とすか落とさないかの2値なので、C/M/Yの組合せは23の8通り。C/M/Yだけの3色インクを全て落とした場合は黒になるのですが、通常は青みがかっていたり茶色がかっていたりして、鈍い黒にしかならず、鮮明さに欠けます。Bkはそれを補うために使われるので、Bkを合わせても結局8通りです。

インク配置図

[*1] 実際には全く同一の場所ではなく各色の位置を微妙にずらすようです。透明度の高いインクとは言え、完全に重ねてしまうと混色による濁りを生じてしまうからです。それでも、配置間隔よりもインクサイズが大きい場合は混色で濁ります。


Bkを別にする理由は、Bkの不透明性にあります。C/M/Yは透明度の高いインクなのでC/M/Yの重ねあわせは色のバリエーションを表現できますが、C/M/Y単独またはC/M/Yを組合せた箇所にBkを落としてしまうと、それらの暗い色になるのではなく、ほとんど黒になってしまうため、組合せとして数えるわけには行きません。

(2) CMYBkのインクを重ねず、隣り合うように配置する場合

BkをC/M/Yと重ねないように横に並ぶように配置する場合には、C/M/Y単独またはC/M/Yを組合せた箇所にBkを落としても黒にならず、それらの暗い色を表現することが可能です。この場合の色の表現数は、24の16値です。
(1)に書いた通り、C/M/Yは透明度の高いインクを使うので、それらは同一の箇所に重ねても構いません([*1]に記した通り、通常はずらします)。

なお一部機種(例えばDeskJet 720C)では、専用紙を使った写真画質印刷の場合には黒インクを使いません。特に顔料系の黒を使うとそこだけ色が浮いてしまい、グラデーションが不自然になってしまうからです。
DeskJet 720Cも普通紙の印刷では黒インクを使います。C/M/Yの混色だけで黒を作る場合、普通紙では滲みと不透明度の低さから、締まりのない不鮮明な黒になってしまうからです。


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1.2. 表現可能な色の数(実際値…インク吸収限界での検討)

例えば昇華方式プリンタのように固形インク、且つ透明度の高いインクであれば、理論値通りのバリエーションが得られます。しかし、液体インクを使用するインクジェットプリンタの場合には、そうは行きません。インクを付着させる媒体である用紙が一度に吸収できる水分量に限界があるからです。限界を超えたインクを噴出すると、インクがあふれてしまい、意図しないインクの混色による色の濁りが発生したり、インクが用紙の裏まで染み出してしまったり、紙がよれよれになってしまったりします。
用紙やインクの性質によって吸収できる限界は異なりますが、例えばHPがカタログで挙げている数値は、普通紙で100pl、HPのフォト専用紙で160plです(ともに1/300インチ四方当たりの値です。例えば1/600インチ当たりならその1/4となります)。どのメーカーの専用紙でも倍近い差があるとは思えないので、以下の考察ではこの値を目安とします。 ※p (ピコ)は10-12

インクジェットプリンタのインク1滴の体積は、HP品の場合、従来型300dpiプリンタの頃50pl、マルチドロップを意識した300dpiプリンタ(DJ 850C)で32pl、最新のプリンタ(DJ720C/710C/880C/895Cxi)で10pl(米国だけの製品 HP 2000は8pl)、更に1999年10月予定のDJ 970Cxiでは5pl、2001年に日本でも販売が開始されたHP 2200は4pl。EPSON品の場合、セミ720dpiプリンタの頃で41pl、720dpiの頃で19pl(PM-700C)または10pl(PM-750C/2000C)、最新プリンタ(PM-770C/3000C)で6pl(登場したばかりのEM-9000Cは?)です。

(1) 300dpiプリンタの色数 (@ 300ppi画素)

さて…具体的な計算をしてみましょう。少し前のプリンタTrue 300dpiでは、1/300インチ間隔でインクを配置できます。1/300インチ四方のマス目にC/M/Y/Bkを落とすことによって表現できる色の数は、§1.1.(1),(2)で述べたように8値、Bkを上手くずらした凝った配置なら16値です。

300dpiの頃の1滴のインク量は50plであり、先に触れた用紙のインク吸収量を考え合わせると、専用紙で160plですから、3滴まで落とすことが可能です。つまりC/M/Y/Bkのどれか3つを同じ箇所に落としても大丈夫ですから、理論値どおり8色が表現できます。
§1.1.(2)のようにインクの配置に凝った場合でも4滴は落とせませんから、4色から3/2/1/0滴を選ぶ組合せとなり、4C34C24C14C0の15値。それでもほぼ理論値通りです。

色数 (300dpi画素)C/M/Y/Bk (Bk重畳)C/M/Y/Bk (Bkずらす)
理論値816
実際値815

(2) 720dpiと1440×720dpiプリンタの色数 (@ 360ppi画素)

次に720dpiを例に考えてみると1滴のインク体積は約20plですが、用紙の吸収量は160×(300/720)2で約28plです。という事は1/720インチ四方のマス目の中にインクは1滴しか落とせません。2滴以上落とすと吸収限界値を越えてしまうからです。その場合の色表現数はインク無し/C/M/Y/Bkの5値しか表現できません。
なおフォトインクPC/PM (/PY)を加えた6 (7)色インクプリンタならば7 (8)値が表現できます。黒を使わないならば、C/M/Yで4値、C/M/Y/PC/PM (/PY)で6 (7)値です。

※300dpiの頃にはインクを重ね合わせられていたのに対し、dpi値の向上だけが先行してしまい、インク体積の縮小が追いつかなかったのでしょう。そのため昔ならば「C,M,Yの3色により(1つのドットで)23 = 8色が表現できる」と言えたのが、720dpiを超える頃からは、1つのドットでは 23 = 8色表現できなくなっていました。しかし、その点が明らかにされること無しに、「C,M,Yがあれば1つのドットで8色」という論理が現在でもまかり通っています。インクの吸収限界から考察すればそんな事は有り得ないのです。

これらのプリンタで、実情に近い1/360インチ四方(1/720インチ四方の2×2 = 4マス)を画素とした場合の色数を求めます。インクの許容値は111plなので、5滴まで可能となります。とはいえインクを落とす機会の問題、制御の複雑さがあるので、1/720インチ四方に1滴だけ落とせるという状況を4マスに広げるだけのはずです。

結局、インク無し/C/M/Y (/Bk)の4 (5)値を4マスに重複配置する組合せなので、35 (70)値。C/M/Y/PC/PM (/PY)は、6 (7)通りを4つのエリアに重複配置する組合せなので126 (210)値です。

仮に複雑な制御をするなら、結局それは5マスへの重畳配置となるので、インク無し/C/M/Y (/Bk)の4 (5)値の場合で56 (126)値、インク無し/C/M/Y/PC/PM(/PY)の6 (7)値の場合で 252 (462)値となります。

C/M/Y/Bkの5マス配置は、EPSONがMJ-500Cで行なっていたセミ720dpiに相当するのかもしれません(図は[*1]を参照のこと)。理屈上は色と解像度を向上させられますが、実際にはマス目よりインクサイズが大きく、混色による色の濁りがあるので、計算値ほどバリエーションが出せるのかどうかは定かではありません…。

平均的な720dpi機種ではない気がしますが、EPSON PM-750Cのようにインクが10plである場合は2滴落とせます。このシステムは1/720dpiのマスを横に2分割することで、インク許容量14plのエリアにインクをそれぞれ1回落とす機会を作っています。この場合、1/720インチ四方では2マスにインク無し/C/M/Y (/Bk)の4 (5)値、またはインク無し/C/M/Y/PC/PM(/PY)の6 (7)値を配置することになるので、前者の場合10 (15)値、後者の場合で21 (28)値となります。
1/360インチ四方では、8マスにインク無し/C/M/Y (/Bk)の4 (5)値を配置する組合せで165 (495)値、インク無し/C/M/Y/PC/PM(/PY)の6 (7)値の場合で1,287 (3,003)となります[*2]
PM-750Cの場合はPYがありませんが、Bkをフォト印刷に使わない場合はC/M/Y/PC/PMと同じ、Bkも使うならば、C/M/Y/PC/PM/PYの場合と同じ色数になります。

※n値をrのエリアに配置する重複組合せ計算は、nHr = n+r-1Cr
 n値によるr個の組合せは、nCr = n!/((n-r)!r!)

以下は、理論値も含めて表にしたものです(BkはCMYとずらして配置できるとして計算した値)

720dpi
色数 (@ 360ppi画素)C/M/Y(/Bk)C/M/Y/PC/PM (/PY)
理論値125 (625)3,125 (15,625)
実際値 (20pl)35 (70)126 (210)
実際値 (20pl) セミ1440dpi56 (126)252 (462)
1440×720dpi
色数 (@ 360ppi画素)C/M/Y(/Bk)C/M/Y/PC/PM (/PY)
理論値729 (6,561)59,049 (531,441)
実際値 (10pl)165 (495)1,287 (3,003)
※全て、同じ色を同一箇所に重ねない従来型として
[*2]:上記のC/M/Y/PC/PM (/PY)での色の組合わせ計算は、あくまでもフォトインク数滴とレギュラーインク1滴(またはフォトインクa滴とレギュラーインクb滴)とが同じ濃度を示さないとした場合の値。実際には同じ濃度がありうるハズなので、上記計算値よりも表現できる色数は少なくなります。

つまり実際値はインクの吸収量が限界となって、理論値どおりの色数を表現できるとは限らないことが分かります。フォトインクを使うのは粒状感を減らすためだけでなく、インク吸収限界による色表現数を補う意味もあるのかもしれません。

EPSONのカタログで、ドット配列イメージで1つのマス目にC/M/Y/PC/PMの単色しか配置されていなくて不思議に思ったのですが、このインク吸収限界を考慮すると納得が行きます。


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1.3. 表現可能な色の数(実際値…顔料での制限)

マイクロドライプリンタの場合には、用紙のインク吸収限界を気にする必要が無い代わりに、顔料系のインクを使うことによる制限があります。不透明なインクであるため、インクを重ねることによる色のバリエーションは期待できません。このためドット当たりの色表現数は、インク無し/C/M/Y/Bkの5値です。

但し、MD-5000の様にドットあたりのサイズを16段階に可変する場合、各色が16階調を持ちますから、そのバリエーションは、インク無し/C(1〜16)/M(1〜16)/Y(1〜16)/Bk(1〜16)となり、65値/ドットを得ることができます。
しかし、1ヶ所に1色しか配置できないため、最低限2×2の4ドットを1画素として、それぞれのセルをC/M/Y/Bkに割り当てる例が考えられます(実際には3×3や4×4であると思われますし、C/M/Y/Bkのセル位置を固定する理由もありません)。仮に2×2の1/300インチ四方での色表現数を考えてみると、65値を4つのセルに重複して配置する組合せは、65H4 = 814,385値となります…と最初は考えたのですが、更に考察をしてみると、1ドットでの16段階は恐らくリニアな段階であり、この計算では階調を重複して数えている事になります(重複して数える間違いに関しては[プリンタの色表現数の勘違い&疑問]の §1.(2)を参照のこと)。

検討し直した結果は…
(1)全色インク無し:(4色から0色選ぶ1通り)×1階調(=用紙色) = 1
(2)インク1色:(4色から1色選ぶ4通り)×64階調 = 256
(3)インク2色:(4色から2色選ぶ6通り)×(4マスに2種を配置する6通り)×16階調2 = 9,216
(4)インク3色:(4色から3色選ぶ4通り)×(4マスに3種を配置する4通り)×16階調3 = 65,536
(5)インク4色:(4色から4色選ぶ1通り)×(4マスに4種を配置する1通り)×16階調4 = 65,536
合計:140,545値 @ 300ppi

上式の4マスにn種を配置する組合わせ数のメモ (GIF画像 75,002 bytes / 手書きの殴り書きのメモなので読めないかも)

上記で「インクを重ねることによる色のバリエーションは期待できません」としていますが、現実にはできるらしい投稿がfj.comp.dev.printerで為されていました。また、構成ドット数もVD専用紙モードでは17ドットを画素とする事もアルプス電気から回答を得ているようなので、上記計算は検討し直す必要があるようです。

17ドットでの計算をし直すのは面倒ですし、色の重ねあわせに関しては個人的に懐疑的なので、色の重ねあわせをせず、16ドット画素のままで15値に変更した計算をしておきます。

1ドットが15値であるとしてやり直した結果
(1)全色インク無し:(4色から0色選ぶ1通り)×1階調(=用紙色) = 1
(2)インク1色:(4色から1色選ぶ4通り)×60階調 = 240
(3)インク2色:(4色から2色選ぶ6通り)×(4マスに2種を配置する6通り)×15階調2 = 8,100
(4)インク3色:(4色から3色選ぶ4通り)×(4マスに3種を配置する4通り)×15階調3 = 54,000
(5)インク4色:(4色から4色選ぶ1通り)×(4マスに4種を配置する1通り)×15階調4 = 50,625
合計:112,966値 @ 300ppi


※この§1.2・§1.3では、主にインクの吸収限界に焦点を当てて、固定したマス目での表現可能な色数を算出しましたが、実際にはディザ・誤差拡散などのパターンが人の目で見た場合に色の相違をもたらしますし、単純に色を重ねた場合には濁ってしまう場合があるなどの実際面は考慮されていません。もちろんその他の制限もあるでしょう。ですから、現実のプリンタで可能な色数そのものを示しているわけではありません。

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