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カラープリンタの“解像度”とは?
〜誤解されている数字〜


[dpi] | [カラープリンタのppi] : EPSON : CANON : HP/NEC : ALPS : その他
[レーザープリンタのppi] | [後書き] | [参考文献]

[階調数と解像度] || [擬似解像度] || [プリンタの色数] || [フルカラーの解像度] || [DJ720Cの分解能] || [関連リンク]

プリンタの画質は様々な要素が絡みますが、某社の宣伝のせいか最近はdpiという数字だけが一人歩きしています。これに関して非常に的確に表現していると思われる言葉を、少し前のカタログ(HP DeskWriter 660Cのカタログ)から引用します。

欲しいのはdpiという数字ではなく、プリントクオリティ
〜(中略)〜
プリントクオリティとは、見たものに対する感じ方であり、プリンタのハードウェア仕様ではありません。プリントクオリティは線のなめらかさ、文字のシャープさ、黒さ、色の鮮明さといった特徴で定義され、実際にはあなたの主観的な判断です。

画質を決める要素は上記で触れられたもの以外にも、ドットの配置とその精度、ドットの大きさと形状・滲み(顔料系・染料系などの性質が影響)、色の深み(画素あたりの階調)、色の正しさ(例えばグラデーションのつながり)、色の表現範囲…など様々あります。dpiはその要素の1つに過ぎません。
例えばドットが小さかったり、淡い色のインクを使ったりして明るい領域のドットが目立たなくなったとしても、本来印刷されるべき色と違っていたら美しいとは言えません。

そんな訳でdpiという数字だけに着目するのは意味の無いことですが、盛んに取り上げられているにも関わらず、スキャナなどの解像度と混同するせいか(あるいは混同する事を狙って宣伝している?)誤解されている数字でもあるので、取り上げてみました。

以下に記す事柄は、各メーカーのカタログで説明されている色表現に関する記述、雑誌によるプリンタ評価記事(およびインク粒が見えるほど拡大された印字イメージ)、DTP関連の雑誌やWeb上の記事を参照してはいます。しかし、カタログなどでは敢えて伏せられていると思われる事柄が多分にあるため、自分なりの推測による解釈を加えています。これはあくまで、私個人がプリンタに関して考えていることをWeb上に公開しているだけであり、内容の保障はしません

dpi

プリンタメーカーによって宣伝されている解像度=ドット(dot)間隔(dpi ; dots per inch)は印刷解像度の事であり、ドットの最小印字間隔(多くの場合印字ヘッドのドット間隔)を意味します。単純に考えれば、ヘッドの解像度と等しいだけの画像解像度が得られるハズですが、特に現在のインクジェット型や熱転写型のプリンタでは、印刷して得られる画像の解像度つまり画素(pixel)の間隔(ppi ; pixels per inch)は、印刷解像度(dpi)とは一致しません

また、ドットの大きさがdpiで示される間隔よりも大きくて、並べて配置すると重なってしまう場合であっても、そのドットの中心同士の間隔が例えば1/720インチであれば720dpiと称しますから、カタログのdpiは、ドットが重なりあってしまわないように配置できる最小間隔とは限りません

結論から言えば、写真画質の印刷において、宣伝文句にある“解像度”は、より小さな画像を見分けるための“分解能”には必ずしも寄与していません
そのため、宣伝文句につられて分解能の高い写真画像が得られると期待して、1440dpiもの画像を用意するのは意味のないことです。

ではdpi値を大きくすることは、何のために必要なのでしょう?

コンピュータのモニタでのドットやスキャナで取り込んだ画像のドットはそれ自体が階調を持ちますから、ドット=画素と考えても構いません。しかしプリンタのドットはそれ自体での階調が、インクが有るか無いかの2階調[注1]、もしくは極めて低いため、1つの画素を多数のドットを使って表現しなければならず、例えば4×4四方の16ドットを1画素として多数の色を表現しようとします。この場合は実質解像度(ppi)が印刷解像度(dpi)/4となります。実際のプリンタの場合は必ずしも4×4四方とは限りませんし、誤差拡散という手法が用いられますから、実質解像度(ppi)=印刷解像度(dpi)/3程度として考えておけば良いと思います。例えば720dpiのプリンタならば240ppi程度の画像が得られます。

1/3程度の根拠を具体的に知りたい場合は、[フルカラー印刷に必要な画素サイズ]をご参照下さい。

[注1]最近はドットサイズを可変させる技術(EPSONCANONALPS)や、マルチドロップ技術(CANONHP)により2階調よりは上がっています。(示した階調数は一部推測によっています)

そのためプリンタで写真画像を印刷する際には、ドット=画素が成り立ちません(画素あたりの階調表現ができる昇華型プリンタは除外)。

これはカラープリンタに限らず白黒ドットインパクトプリンタ、レーザープリンタでのグレイ階調印刷にも当てはまります。

また複数のドットのパターン組合せ、あるいは誤差拡散による表現の場合、解像度が低すぎると、そのパターンが見えてしまい、画質を損ねます。写真画質ではそれが見えないようにする必要があります。

一方で、ドットあたりの階調表現に優れる昇華型プリンタの場合には、これまでdpi云々はそれほど言われませんでした。例えば1994年頃の170万円近い値段のセミプロ用昇華型プリンタ(例えばSONY UP-D7000)の解像度は160dpi程度ですが、ドットあたり256階調/色の表現が可能なため、現在のインクジェットよりはるかに高い画質で印刷できます。その画質は、以下の表現からも推測できます。

「実際に編集部では、UP-D7000でプリントアウトした画面のクリップを図版原稿として掲載する事もある」 (Windows Magazine 1994.2号)

ドットそれ自体の階調性が高ければ、解像度はそれほど必要ではありません。(ちなみにA6サイズ印刷用(主としてビデオプリンタ)ならば300dpi程度も存在します。例:Panasonic NV-MPX300C

言葉だけでは分かりにくいので、簡単な比較例を用意しました。階調数の低さをドット密度だけでカバーするよりも、程々の階調数と解像度で表現した例が美しいことが分かります。

つまり、インクジェットプリンタにおけるドットの大きさやドット間隔を小さくするdpi競争は、画像解像度を高めることよりも、むしろ階調性の確保とドット組合わせのザラツキを解決するためにあります。

各社プリンタの原理などを良く調べてまとめると、印刷画像の解像度(ppi)は下に示す通り、300ppi程度が現実で、各メーカがカタログで謳うようにフルカラー(1600万色)を実現するにはその画素で更にディザ処理をする必要があります。階調性が低いほど、大きなマス目のディザを必要としますから、分解能はそれに伴って下がります。つまり、どのメーカーのプリンタを使うにしても、用意する画像は200〜300dpiもあれば十分です。

・EPSONのWebサイトでも適正な解像度はその程度と示されています(EPSON機の場合、360dpiの倍数の方が良いハズなのに、一般的な数値としてなのか300dpiが適正値として案内されています)。
[001875]スキャナーの読取解像度と出力サイズ-品質との関係 (2011-09-15時点)

プリンタの実力をはるかに超えた解像度の画像を扱うためにメモリーを多量に用意して、画像加工・フィルタリングのためにCPUをフルに働かせて、HDDをガリガリ言わせて作業して、過剰な解像度でプリンタ(プリンタドライバ)へ出力して、またそこでもメモリとCPUとHDDをフルに働かせた結果得られる画像は、適切な解像度で作業・出力した画像となんら変わりません。何のディテールを加える事にもなりません。単なる資源と時間の無駄です。

ちなみにパソコン用プリンタでは通常は使われない[※1]単位ですが、見分けの付く線を並べられる数を lpi(lines per inch)として表現します[※2]が、それは黒と白だけ(あるいはカラーインク単色と白だけ)の中間色を含まない線画や文字の印刷の場合に、最高値として印刷解像度の1/2となります。もちろんドット間が重なってしまうようなプリンタの場合は1/2を下回ります。

[※1] パソコン用プリンタでない印刷機による印刷(ややこしい表現ですが…)、要するにグラビアやオフセット印刷など印刷会社が行なう印刷では、規則正しく並んだ網(スクリーン)を用いて印刷し、網を通り抜けるインクを網点と呼びます。この方式は、暗い部分の網点は大きく、明るい部分では小さくなるという、濃度と網点の大きさが比例関係にあるため、AM(振幅変調)スクリーニングと称します。それに対してインクジェットプリンタに代表される方式では、暗い部分は密なドット、明るい部分は疎なドットという、濃度とドット密度が比例関係にあるFM(周波数変調)スクリーニングです。規則正しい間隔の網点とは少し概念が異なるため、lpi表現がされないのだと思います。ちなみに、印刷業界でもFMスクリーニング技術は実用化されています。

[※2] lpiは階調を持つ画素(ハーフトーン・ピクセル)が1インチに並ぶ数をも意味します。その場合の値はppiと同値です。もともとは印刷に用いるインクのスクリーンの網目の数(スクリーン線数)のことです。

[補足1]:印刷関連では、○線□dpi△階調(=○lpi□dpi△階調)風な表現を使うようです。例えばピクセルが1/150インチ間隔で、そのピクセル内を16×16の256マスで仕切る場合は、150線(lpi) 2400dpi 256階調となります。
(厳密には用紙の白を含めた257階調)

[補足2]:階調数、印刷解像度(dpi)、スクリーン線数(lpi)の関係:
 階調数 = (印刷解像度 / スクリーン線数)2 + 1

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カラープリンタのフォト画像での階調数と解像度(ppi)

EPSON Printer ColorDepth EPSONプリンタ
◆ドットサイズ固定でのレギュラー&フォトインクによる階調数
◎無・フォト・レギュラーによる3値/色/ドット(Yellowは2値);PM-700C/750C etc
◆ドットサイズ可変でのレギュラー&フォトインクによる階調
◎無・フォト(6pl,10pl,19pl)・レギュラー(6pl,10pl,19pl)の7値/色/ドット(Yellowは4値);PM-770C/3000C

PM-900Cでは設定によってドットサイズも変化しますが、1440×720dpiモードにて無・フォト(2pl,5pl,11pl)・レギュラー(2pl,5pl,11pl)の7値/色/ドットです。

※1 エプソンの場合はフォトインクを使うことによって階調性を上げているため、ディザサイズを小さくできる分だけ、旧来プリンタよりも解像度を向上させていますが、ドットの置き方は旧来通り重ねません。これを4×4=16ドット(720dpi機種)/4×8=32ドット(1440×720dpi機種)を画素として表現している様子。この場合の解像度は180ppi。もし3×3=9ドット/3×6=18ドットを1画素としているなら解像度は240ppi、2×2/2×4を1画素としているなら、解像度は360ppiです。
フルカラーを表現する場合の解像度

ちなみに縦方向に並ぶインクノズルはPM-700C/750Cで90dpi、PM-770Cで120dpi [※2]。横方向の1440dpiはカートリッジが1/1440インチ動くたびに噴射する事で実現しており、PM-700C,750Cのヘッドは同一。770Cではノズル数が増え、ノズルピッチも4割縮まっています。

※2ノズルピッチ720dpiと思っていましたが、プリンタ博士のページへようこそ、およびPR Printer Review HP Graphil Special#2、および『ASCII』Vol.22, #12 December 1998号 「プリンタ購入完全マニュアル」、によれば違うようです。スペックの720dpiは、紙送りを720dpiピッチで8回(PM-700C/750C)、6回(PM-770C)行う事で実現されています。

※3 用紙性能が違えば単純に比例しませんが、HPが見積っている、1/300インチ四方エリアでのフォト用紙のインク許容量160plを当てはめると、1/240インチ四方の許容量は250plとなります。この場合、19plのインクを18箇所に落とすと、342plとなります(1/180インチ四方でなら許容量444plに対して、608pl)。これは許容量に対して4割り増しであり、少し多めですから紙がよれてしまうかも。それを避けるには最大でも13箇所にしか落とせません。結果として6pl, 10plを主体として使うはずです。それを加味すると階調数は、6値/色/ドット(Yellowは3値)程度となるのかな?。
別の観点からの考察によれば、C/M/Y/PC/PM(/Bk)で、10plだけを使った場合、1440×720dpi機種にて、1/720インチ四方当たり21 (28)色、1/360インチ四方当たり1,278 (3,003)色以下です。

※4 EPSONは淡色インクと高解像度でとにかく写真画質路線をひた走るようです。むやみな高解像度はビジネスや通常用途には不要であり速度・バランスが重要とするHPの路線とは対照的。
→1999年6月に、米国でだけ投入していたStylus Color 900とほぼ同等の4色モデルEM-900C/CNの販売を開始した模様。黒インクが相変わらず染料系なのは惜しい点ですが、米国モデル同様、速度はなかなか速そうです(参考記事:[Ink Jet Printer比較]; この記事中の画質評価は同等機種DJ712C/882C/1120C間で評価が違うなど疑問あり)。



Canon Printer ColorDepth1 CANONプリンタ
◆大小インクドロップによる階調数
◎通常インク:無・小1・大1・大3 の4値/色/ドット;BJ-430J
ref. ドロップ変調技術 on Canon Site
◆レギュラー&フォトインクのマルチドロップ
◎無・フォト・通常・通常+フォトによる4値/色/ドット;(BJ-F800をドットレベルで表現すれば25値でなく4値のハズ)
Canon Printer ColorDepth3 Canon Printer ColorDepth2

※1 BJ-F800の場合カタログでは5値や25値が記されていますが、説明図から見る限り以下のように、2×2の4ドットを画素とみた場合の数値のようです(カタログやWebページでは、マス目のサイズが意図的に(?)伏せられていますが、この場合の解像度は300ppiのハズ)。
別のプリンタBJC-700Cではフォトインクによる9値が記されていますが、BJ-F800と似た方式です。ドットあたり3階調の表現はありませんが、理屈では3値/色/ドットが可能です。2×2の4ドットに、無・フォト1,2,3,4・フォト+レギュラー1,2,3,4をそれぞれ配置する9通り。

◆2×2の画素での階調
◎レギュラーインク:無・1・2・3・4の5値/各色/画素
◎レギュラー&フォトインク:無・フォト・レギュラー のパターン組合せによる9値/色/画素
◎レギュラー&フォトインク:無・フォト・レギュラー・レギュラー+フォト のパターン組合せによる25値/色/画素
◆インクの重ね打ちによる階調
◎無・1・2の3値/各色/ドット (BJ F850, BJ F860)
カタログの33階調は300dpi四方マスに1200dpi四方マスが16個含まれて、そこに0・1・2滴を落とす場合の値(0〜32滴)
なおBJ F870はヘッドの横方向を2400dpiに高めてありながら、インク体積には変更が無いので、2400×1200dpiマスには0・1滴の2値/色/ドット
F850と同じ1200dpi四方マスで考えれば全く同じ0・1・2の3値/色/(1200dpiの)ドットです。でもWebサイトでは300dpiマスで49階調である旨が記されています。インクが重なった部分があるから0・1・1.5・2の濃度が出るという意味かもしれませんが、300dpi四方エリアに落とされるインクの総量としては同じなので、違いがあるかどうかは、(パターンの違いが絶対に色の差にならないとは思わないまでも)やや疑問を感じます。


HP Printer ColorDepth HP/(NEC)プリンタ
◆レギュラー&フォトインクによる階調数
◎無・フォト・レギュラーによる3値/各色;DJ694C, PICTY300/220/700 etc
◆マルチドロップによる階調数
◎1画素あたりカラーインク(10pl)を0,1,3,8回重ねることによる4値/色/画素、または黒インク(32pl)を0,1,2,3,4回重ねることによる5値/画素で、300ppiサイズ(2×2の4ドットに相当する)を1画素としたエリアに最大16回のインクを落とすことによる約250色/画素(=16×24=256?)(16回なのはフォト用紙のインク許容量 160plに対して10pl×16回が限界のため;普通紙は 100pl);DJ 720C/710C/880C/895Cxi/1120C, PICTY 900/320

dj970c/dj990cなどは5plのインクをハードウェア解像度2400×1200dpiエリアに何回重ねるか不明ですが、300dpi四方マスには全部で29回落とします。DJ720Cでの値160pl/5pl=32回に比べて29回と低いのは吸収限界の問題ではなく、インクサイズからくるインクの重なりを避けたいから?

※1 DJ 720C etcのノズル解像度は600dpiのため、2×2の4ドットのエリア(画素)にインクを多重噴射することになります。この場合の解像度は300ppi
フルカラーを表現する場合の解像度
DJ720Cの分解能

インクカートリッジのノズル:モノクロは穴径1/600inchの1/600inchピッチ、カラーは穴径1/600inchの1/300inchピッチです。カラーでのPhotoREtIIを実現する際には、ヘッド動作と紙送りを1/600inchのタイミングで制御するものと思われます。

※2 日本HP/NECのカタログにある1200dpi相当とは何か?というと、EPSONのように1箇所に1回しかインクを落とさない、旧来方式に当てはめた場合の相当値です。フォトインクを使わず、インクドットを重ねない旧来方式で4階調を得るには2×2の4ドットが必要となるため、インクを重ねないで実現するには600×2の1200dpiが必要となる、という意味だと思います。
もう一つの解釈として、インク粒のサイズが1200dpiに相当すると言う意味です。EPSONの項にあるインク粒の図を見れば明らかな通り、10plのインクならば1/1440インチ=6.94×10-4インチ四方にほぼ収まります [※3] から、当然1/1200インチ= 8.33×10-4インチ四方には十分収まります。つまりインクサイズは1200dpi相当なのです。ALPS MD-5000も、同じ理屈で2400dpi相当と表現しています。メカさえ変更すればTrue1200dpiも可能なところを速度などのバランスを重視して敢えてやらない路線のようです(参考文献の[The Hard Copy Observer September 1997]の記事からも読み取れます。ちなみに、焦点が dpi から pl 、更に次へ遷移する事が既に触れてあるのは驚き)。
米HPでは黒だけup to 600dpiとして表現し、カラーは数値を出さずにHP PhotoREt II for photo qualityとして表現しています。
「〜dpi相当」に関しては、擬似解像度 を参照のこと

※3 同じ10plと称してもそれはノズルから噴出されるインクの体積に過ぎず、紙に噴出された後のインクドットサイズ(直径)はインクの性質によって異なります。HPの方がその時点では世界最小のドットだったそうです(これまた[The Hard Copy Observer September 1997]で言及されていますが…EPSONの称する10plは実は14pl ?…少なくとも1997年6月時点では。時期はPM-700C/750Cの頃です)。米国内だけで販売されているHP 2000Cでは8plらしいです(後継のHP 2200は日本でも販売開始されました。こちらはインク体積4plです)。
Graphil World「雑誌の評価」DOS/V POWER REPORT 99年1月 インクジェットプリンタができるまでによると、2plの実験がされているそうです。

ちなみに…吐出インクが仮に綺麗な球体と仮定すれば10plの直径は約26.73μmと計算され、1/1440インチ四方は約17.64μm四方。6plの球体の直径でも約22.54μm。とすると着弾する前からサイズが収まりませんねぇ…。1/720インチ四方なら大丈夫そうですが、着弾後は当然ながら直径が増すので収まるかどうか微妙なところ。

◆フォトインク&マルチドロップによる階調数
◎300dpi解像度のヘッドを用いて、6色のインクを300dpiエリアに最大8回重ねます。階調数は不明(0/C/M/Y/Pc/Pm/Bkの7値を8回重複配置と考えると、7H8 = 3003色/画素?)。解像度は300ppi。;HP PhotoSmartフォトプリンタ(インクと反応する専用紙が必要)
このプリンタは製造中止。2001年2月現在ラインナップされているPhotoSmartプリンタはこれとは違い、deskjetにメモリカード読み取り機能と単体印刷機能を加えたモデル。


Alps Printer ColorDepth ALPSプリンタ
◆マイクロドライ方式(熱転写モード)の階調数
◎ドット・サイズを1/2400dpi〜1/600dpiの範囲で15段階に可変する16値(インク無しの場合を含む);MD-5000
MD-1300などはサイズ固定のため2値/色/ドット
◆昇華方式の階調数
◎ドットの加熱量を15段階に可変して昇華するインク量を15段階に可変する16値(インク無しの場合を含む);MD-1300/5000 etc

MD-1300は4×4の16ドットを画素として32値/色/画素(熱転写モード)、256値/色/画素(昇華モード)を得ています。その時の解像度(ppi)はdpi値の1/4となりますから、例えば600×600dpi [※1] のMD-1300J/Dならば150ppiです。最新機のMD-5000は可変ドット(ALPSの用語ではVD)の効果を加味して3×3の9ドットを画素としているようです(VD専用紙で190lpi相当、普通紙で145lpi相当という記述から逆算すれば、VD専用紙の時は3×3の9ドット/画素、普通紙および昇華モードでは従来通り4×4の16ドット/画素と推測されます。)。その場合、600×600dpi [※1] のMD-5000は、VD専用紙でのVDモードでは、階調数が144値/色/画素、解像度(ppi)はdpi値の1/3で200ppi、昇華モードでは、階調数が256値/色/画素、解像度(ppi)はdpi値の1/4で150ppiとなります。
フルカラーを表現する場合の解像度

※1 MD-1300やMD-5000のカタログ値、1200×600 dpiの1200は、文字印刷の場合のスムージング値であり、画像には適用されません。

※2 MD-5000のカタログにある2400dpi相当は、図にもある通り16段階に可変されたドットの最小サイズ(直径)が1/2400インチ=4.17×10-4インチであるという意味です。
また、ドットサイズを可変しない方式で16値/画素を得るには2400dpiドットによる4×4の16ドットが必要であることとも言えます(HPの項の※2と同様)。
なお1/2400インチ間隔でドットを配置できる性能とは違います。
擬似解像度 を参照のこと

※3 MD-5000のカタログ(右図も)ではインクドットサイズが、1/2400インチから1/600インチまでの16種類であるかのように表示されていますが、実は15種類の間違いだそうです(ALPS社に尋ねた方(井出さん)の得た回答がNetnewsのfj.comp.dev.printer で読めます。)。ですから、1/600範囲で表現できる階調数は、用紙の色(インク無し)と15段階のインクによる16値となります。また、昇華モードでは17ドット、VD専用紙モードでは10ドットを使用する事により、フルカラー/画素を得ているそうです。しかし…現実に17ドットや10ドットのような中途半端な数値で並べようとするとイビツになり、配置し辛い(それともこんな配置?)ですから、あくまで理論値ではそうなる、あるいは誤差拡散の結果としてそうなる、という数値だと思います。(→これに関しては井出さんから非常に興味深い配置推測案を見せて戴き、10ドットや17ドットも確かにできそうに思えましたが、転載許可を戴いていないのでここでは紹介できません。少なくとも私が示した配置例は、99.9%外れだと思います。)



その他

その他メーカーの階調数はだいたい上記のどれかに当てはまります。例えばLexmark(Color Jetprinter;1999年1月現在 Max 1200×1200dpi)やそのOEM製品(例:富士通 PrintiaJET)、Xerox(Jet Wind 800×800dpi @フォトインク)の6色フォトモードはEPSONのサイズ固定の場合と同じ方式と思われます。
※4色インクの頃、沖データ Picnica MicrolineJetもLexmarkのOEMを受けていましたが、現在はインクジェットプリンタを販売していないのかも…カタログも見かけませんし、Webサイトにも情報がありませんから。(MicrolineJet 300CのWin95用ドライバの提供だけは継続されていますがWin98以降のサポート予定はないようです。インクジェットもこの1機種だけだった様子)

2002年12月現在、新聞広告やWebサイトで知ったのですが、FUJI Xeroxのビジネス用インクジェットプリンタ WorkCenter B900/B900Nは各色256階調、3200×1600dpiを謳っています。多分、16×16の升目で256階調を実現するようにした200×100dpi相当の画像解像度なのでしょう。

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レーザープリンタの解像度・階調数例

HP LaserJet Gray Shade HPプリンタ

1/600インチ四方のマス目を1ドットし、そのマス目の中でドットサイズをその1/4弱(高さと幅は1/2弱)で可変すると同時に、ドットの位置を適正位置に制御することによって、文字や画像を1200×1200dpi相当で表現します。600ppi、5階調/ドット(説明図を見る限り1/4弱のサイズのドットも配置されているので、階調数はもう少し高いかも)。画像の場合は更にディザ・誤差拡散が使われるので、多分300ppi、17階調/ピクセル程度、あるいは150ppi、65階調/ピクセル程度75ppi、257階調/ピクセル程度

Canon製品に対して、hp製品側が縦横の解像度を高めている点が注目されますが、私が調べた限りでは、これはDP-Tekの開発したTrueResという技術をhpが会社ごと買収したことに関連しているのだと思います。なお、TrueResという擬似解像度技術があることに関しては、私のリンクページの「生活/科学/実験/Q&A」カテゴリからリンクしている、hirax.net (できるかな)の著者である平林純氏から情報を戴きました。
興味深い縦横解像度の話、ファイト!縦文字文化 - 縦と横の解像度を考えよう - (2001.04.29)もありますので、お読みになることをお勧めいたします。
上記のTrueResのパンフレットへのリンクは、昔見つけたサイトが消滅しているので、WebArchiveへのリンクとなっています(それでもパンフレット自体は表示できなくなっているようですが…)。

※全然違うWebページ/Font関連のプログラム/団体?と思われるTrueResもあるようですが、お間違えなきように。



CANON LASER SHOT Gray Shade CANONプリンタ

1/600インチ四方のマス目を1ドットし、そのマス目の中でドットサイズを横方向に1/4幅で可変する事により、文字や画像を2400×600dpi相当で表現します。600ppi、5階調/ドット。画像の場合は更にディザ・誤差拡散が使われるので、多分300ppi、17階調/ピクセル程度、あるいは150ppi、65階調/ピクセル程度75ppi、257階調/ピクセル程度
上位機種(LBP-850/LBP840)の場合はドットサイズをリアル1/1200インチ四方(四方と呼ぶよりハニカム的な並び)にしており、256階調と明記されているので、画像の印刷は多分75ppi、257階調/ピクセル程度

以前、LBP-850/840に関して「ドットサイズを縦横に1/4段階可変する事で4800×4800dpi相当。云々」と記していましたが、別の情報とごっちゃにした私の勘違いでした。


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[後書き]

昨今のカタログや広告は、プリンタのdpiの持つ意味、スキャナやモニタのdpiとの違いにはほとんど触れず、その数値の大きさばかり強調しすぎており、その数値さえ大きければ画質が良くなるかの錯覚を与えています。本ページは、その誤解を解く一助として記述しました。それゆえここでは“解像度”にスポットを当てており、その他の要素に関しては敢えて触れておりません(触れていても掘り下げてはいません)。

冒頭にある通りプリンタの真の性能は解像度だけではありません。といってカタログや広告に見られるその他の数値、およびこの文中で示した数値などは技術的な一面しか示しておらず、それらが良いからといって“美しさ”を保障する事にもなりません。更には、画質面以外にハンドリング(扱いやすさ)や耐久性、その他もろもろの要素も性能の一部であることも忘れてはなりません。
例えば、MS-DOSから印刷できないと困るとか、TEXで印刷するために、プリンタコマンドが公開されていないと困るとかいう人もいるでしょう。

用途や主観に適うプリンタであればそれがその人にとって最適なものであり、選んだプリンタが仮にメディアや他人の“お勧め”と違っていても、一向に気にする必要はありません。自分が必要な機能・意味を見極め、無意味な数値を追う事のない、賢い消費者になりましょう。

※1 本ページの目的は、特定メーカーの宣伝や、特定製品の購入を促す事ではありません。

※2 挿入図は各社プリンタのカタログから抜粋したものです。挿入図の外形・配置・サイズ・色・減色方法・画像フォーマット・圧縮率などは、図の意図を損ねない程度に編集してあります。画像編集の目的は、図・文字の判読性を大きく損ねない範囲で、ファイルサイズを可能な限り小さく抑えることにあり、それ以外の特別な意図はありません。

※3 各社の紹介順序は、私の気まぐれによるものであり、何ら意図はありません。


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[参考にした雑誌・Webページ etc] の一部
※サイト再編/サイト消滅などによりリンク先が消滅している場合があります。
 (リストの作成・メンテは1999年6〜9月頃まで)


[参考資料 2] fj.comp.dev.printerにおける、MD-5000のlpi値、およびカタログの間違いに触れたスレッド
  • Message-ID: <7q34um$dbj$1@nitgw.mains.nitech.ac.jp>
  • Message-ID: <37C7C1D5.9AC87D8A@nifty.ne.jp>
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★印を付けた投稿で、アルプス電気からの回答要旨が読めます。
★印やスレッド元の投稿者である井手さんには、MD-5000に関連する記述ミスの御指摘や、lpiに関する考え方など有益なコメントを戴きましたことを、付記しておきます。

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